「誰かと話したくなったらそっと開く本」e-book発売中!
アート

【相国寺 「若冲と応挙 Ⅰ期」】若冲の鮮やかさと応挙のストーリ展開を楽しむ。

yukanee

今回は私のおすすめ展示会として京都の今出川駅すぐの相国寺にある「承天閣美術館」で2023年9月10日から11月12日までにⅠ期として開催されている「若冲と応挙」をご紹介。

ゆか姐
ゆか姐

アートもいいなぁと思っても、どこで何をやってるの?作者の名前を聞いたことあるけど、どんな絵かわからないとなんとなく行きにくい。そんな時に記事を参考にしてみてくださいね。

こちらの相国寺は京都の今出川、京都御所の近くにあります。同志社大学なども近くにあるので、もしかすると学生時代に今出川キャンパスで過ごしてたから場所は知っている!という方もいらっしゃるかもしれませんね。

さてそんな相国寺は若冲と縁の深いお寺。なので、「動植綵絵」を元々は保有していましたが、献上したので現在本物は宮内庁で管理されております。その時の献上したという証明書の展示も今回されておりました。

このⅠ期の目玉は伊藤若冲の「動植綵絵(複製)」と、円山応挙の「七難七服図巻(重要文化財)」の全三巻と画稿、下絵を展示されております。ちなみにⅡ期は伊藤若冲の「鹿苑寺大書院障壁画(重要文化財)」五十一面の公開となります。

今回実は私がこの展示会を「絶対行く」と決めた理由はある本を読んだというタイミングもありました。

若冲 澤田瞳子(その時の記事をこちらから読むことができます)

この本は史実に基づいたフィクションなのですが、この本の中にも動植綵絵の話が出てきたり、Ⅱ期の障壁画の話も出てきます。それでこの展示会に行ってみたい!って思ったんですよね。

こんな風に本からアートに触れていく、描いた人の人物像などを想像したりしながらアート作品を鑑賞するっていうのも、よりじっくりみながら感じることがたくさんあると思うので、おすすめです。

この美術館に行く前にもお寺の門をくぐってから少し歩くのですが、お庭や蓮池に鴨がいたりだとかして、庭園散策としてもゆったりしているのでおすすめ!

私が行った日は雨だったので、雨音と砂利道の音、葉につく雨粒なんかも美しいなぁと思いました。

お庭をゆっくり散策しながら美術館にいくのもまた、京都ならではの美を感じることができますよね。苔寺に行って以来、苔にもたくさんの種類があると知って、苔があるとついじーっと見るようになった私。とはいえ、種類を覚えてるわけでもないけど、ただの「苔」という1つの言葉から、たくさんの苔があるカテゴリーという区分けに変わったので、「ここのはどんな苔かな?」とみたりしちゃうんです。

実は一つに見える苔も見にいくとたくさんの種類が混ざってそこにあるのがわかって面白いですよ!

さて、美術館は下足禁止。入り口で下駄箱に靴を入れ、鍵を持って展示を見ていくのですが、この美術館は撮影禁止のため、中のお写真はありません。

ただ、中では作品はもちろん他にも木彫りの狛犬や室町時代の壺、金閣寺の10分の1の模型などもあり、テーマ以外の展示もあります。

そして今回私が見た展示の中ですごく面白く感じたものを若冲から2点、応挙からは1点、そして他の展示品から1点の計4点について文章でご紹介させてくださいね。

伊藤若冲「梅花皓月図」

梅花皓月図はその名の通り、梅の花と月をモチーフに描かれた作品です。ただ私はこの梅の花を見た時に「星見たい。」って思ったんです。

それほど、月にかかる梅の枝よりも花の可憐さというか、小さく付けた花がぼうっと光を帯びる星のように見えたんですよね。

月も存在感があるはっきりとした月ではないのに、なぜか私は月に引っ張られるかのように梅の花に星を結びつけて鑑賞していました。

満点の星と月、今のように電気がない時代の街の星空は今よりもっと輝いていたのではないか?若冲は宇宙をモチーフにしたわけではないけれど、梅の花の構図を星のように散らばらせる発想はもしかしたら私と同じように星をどこかで感じ取ってそれを構図に組み込んだのかも?!なんて思ってみているとすごく梅の花の白さなどの儚さがますます星の光のようでもありました。

絵はこちらのサイトを参考にしてみてくださいね!宮内庁

伊藤若冲「芙蓉双鶏図」

芙蓉という花と2羽の鶏。しかし私はその題名になったモチーフよりも「ハマカケス」という鮮やかな小鳥に目が行きました。この時代の京都にこんな鳥が果たしていたんだろうか?と疑問を抱いたんです。若冲は鶏をよく描いていますが、今回の動植綵絵の中には題名には冠されていない小鳥が作品内でよくみられます。なので、それを探すのも楽しかったのですが、ハマカケスについてはその鮮やかさが絵のアクセントになるのは理解できるものの、あまりに今となっては見かけない色彩に「これは・・・本当に存在する鳥なの?」と疑問を抱いたんですよね。

家に帰ってきてから調べてみると奄美大島や徳之島などでみられた鳥で現在は絶滅危惧種に指定されていました。日本にはいたけれどやっぱり南の方の鳥だった!と驚きとともに、その鮮やかな鳥をその絵の中に入れようとしたということは、あの時代どんな風にその鳥の存在を知ったのか、今度はそのところが気になるなぁ、なんて想像がかきられた作品でした。

絵はこちらのサイトを参考にしてみてくださいね!宮内庁

円山応挙「七難七福図巻」下絵と画稿

円山応挙のこちらの作品については、実は図案に関してあれこれ細かく指示があったと知ったのは美術館のパンフレットを手にしてからでした。

展示会場が3つに分かれていたので、移動中手にしたパンフレットに「此の部分は元々応挙の下絵には描かれていなかった。円満院の祐常が応挙に指示したので出来上がった作品には犬が加えられている。」というのをみて、「下絵や画稿と同時に見るからこそわかる面白さ」というのを感じました。そして、画家が思うように描いたものと、パトロンやお客様の依頼があって描くものはどちらかというと西洋美術や、肖像画に多いイメージだったので、新鮮に感じた作品。

ストーリーのように展開されていく絵に「へぇ!面白いな」と思いつつも、拷問的な部分や難を描いている部分についてはあまりに生々しくて少し眉をひそめながら見ました。

萩兎蒔絵茶箱

こちら若冲と応挙とは別の作品。蒔絵や香合などが展示されてあるうちの一つでしたが、これがもうびっくりするくらい「兎が私の知ってる兎とちょっと違うんですけど!」ってツッコミを入れたくなるほど諸々デフォルメされておりました。多分その頃の兎は今のような「ペットにもするほど、身近なかわいい生き物」という概念とは違うからなのでしょう。剣か、アンテナか、はたまた傍受するためにそんなに長くなったのか?と聞きたくなるくらい体よりぐーんと伸びた耳、そして目つきもイカつければ、体もムキムキしてる・・・・。私の知ってる可愛らしい、愛くるしい兎は一体どこへ?そう思わずにはいられない作品。

今回、宮内庁のHPのリンクを貼っておりますので若冲の動植綵絵を見て私が注目した以外の作品の方が気になったという方もいらっしゃるだろうし、もっと近くで絵を実際見てみたくなったという方もいらっしゃると思います。

若冲の絵は高価な画材をふんだんに使っているので、あの鮮やかさが生まれていて、今なおみても色褪せない部分があるんだろうと思うのですが、やっぱり実際大きさをみて、細やかさを見るなら足を運んでみてもいいと思います。

全体を通して改めて若冲っていう人は「世界の生き物はどうしてこんな柄なんだろう?」「どうしてこんな構造になるんだろう?」と興味が尽きなかったから何度も何度も同じモチーフを描き続け、それらに並々ならぬ関心があったから丁寧に細かく描き続けたのではないか?と感じました。私も今はこう感じているけれど、3年後5年後みた時はまた別の感じ方をしているかもしれません。今の自分を知るためにアートを使ってみると自分との対話がしやすくなるのでおすすめです。

時間:10:00~17:00(入館は16:30)

拝観料:大人        800円
    65歳以上・大学生 600円

    中高生       300円

    小学生       200円

※一般の方に限り、20名様以上は団体割引で各700円

休館日:2023年11月13日(月)〜2023年11月18日(土)

    2023年12月27日(水)〜2024年1月5日(金)

HP:https://www.shokoku-ji.jp/museum/

こちらについてのご質問ご感想はこちら

お問合せ

Xからの読者コメントをお待ちしています。
ブログ更新の励みになります!
記事URLをコピーしました